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【開催報告・伏見】『ソラリス』(スタニスワフ・レム) |名古屋で朝活!!朝活@NGO

 

 

今月の伏見はSFの名作『ソラリス』(S.レム)が課題でした。宇宙に進出する人類にとって、そこで出会うかもしれない生命体(?)とは、敵か味方か、コミュニケーションが取れるのか、など何かしらの「関係性」を期待してしまうものですが、もし何の手ごたえもない、理解もできないようなものとのコンタクトだとしたら、という妙にリアリティのあるSF古典です。

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 惑星ソラリスの探査に赴いた科学者クリス・ケルヴィンは、科学者たちが自殺や鬱病に追い込まれている事実に直面。何が起こっているのか調査に乗り出します。その過程で、死んだはずの人間が次々に出現する現象に遭遇し、自らの狂気を疑うクリス。やがて惑星ソラリスの海が一つの知的生命体であり、死者の実体化という現象は、海が人類の深層意識をさぐり、コミュニケーションをとろうする試みではないかという可能性に行き当たります。果たして「ソラリスの海」の目的は?”

《100分de名著 https://www.nhk.or.jp/meic…/famousbook/71_solaris/index.html より》

 

ストーリーには、かつて自殺に追い詰めてしまった恋人の出現があったり、乗組員の混乱、葛藤など、悲劇の恋愛小説としても読める多層的な面白みがあります。

 

個人的には、「理解を超えた他者を、あるがままに受け入れることの難しさ」とか「深層心理、無意識を明らかにされるということへの恐れ、不安」とか、人間の本性を改めて考える機会になるのかと。SFの面白みは、現状とは違った視座から人間や社会のありようを見直す機会になる点ですかね。

 

本作が発表された1961年というのが、「アフリカの年」と言われた1960年の翌年というのも、時代背景としてあるのかも。レヴィ=ストロースの『野生の思考』が1962年、科学的思考との対比が、構造主義として確立されつつあった時期でもあります。

 

今やAIやアンドロイドなど、これまた違う意味で「未知の社会」に遭遇している時期。『ソラリス』が、また新たに意味を持つ時代ですね。