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【開催報告・栄】朝食読書会 「学習する組織」入門――自分・チーム・会社が変わる 持続的成長の技術と実践(小田 理一郎)

 

「学習する組織」入門――自分・チーム・会社が変わる 持続的成長の技術と実践

「学習する組織」入門――自分・チーム・会社が変わる 持続的成長の技術と実践

 

 今月の栄は『「学習する組織」入門』(小田理一郎)が課題でした。

 元本の『学習する組織』(P.センゲ)は世界中で翻訳され、多くの方に読まれている名著ですが、邦訳で600ページ近くのボリュームがあるので、この「入門」はセンゲの深い思想を理解する助けになります。

 

管理人の読書メモ

つまるところ、私たちはものごとをありのままに見るのではなく、私たちの思考に合致することだけを見る傾向があります。合理的に知っていること、経験があること、そして、感情的にならずにいられることばかりに思考を支配され、私たちはごく限られた範囲の、バイアスのかかった情報で意思決定を行っているのです。

 

テクニカルな知識が豊富な専門家で、組織の現状や今進んでいる方向に対して問題点を見抜いている人がいたとします。しかし、その発言がとても辛辣かつ批判的な上に、他者は自分の見解を分かってくれないと嘆いているばかりだとしたら、おそらく効果的な変化は起こせないでしょう。

 

変化が加速する境界のことをティッピング・ポイントといい、システム内の17%の人々が変化を受け入れたときがそのポイントになるとされています。

 

PDCAなどのシングル・ループ学習だけではなく、常に自分たちの持つ前提を疑うダブル・ループ学習のもと、複雑な構造から織りなされるダイナミクスの変化に適応するマネジメントを行うことが必要となります。

 

実際に話された会話とそのときに当事者が心の中で感じ、考えたことを書き出すことで、それぞれの当事者に起こっていたこと、当事者間に起こっていたことなどを立体的に浮かび上がらせることができます。

 

メンタル・モデルを内省する上で、最大の障害となるのは自分自身の思考です。思考とは、メンタル・モデルの産物にほかなりません。

 

「船をつくりたかったら、人に作業を割り振るのではなく、はてしなく続く広大な海を慕うことを教えよ」。これは、フランスの作家、A・サン=テグジュペリの言葉ですが、共有ビジョンの重要性を端的に表しています。

 

ともすると、M社のように、それぞれがプロセスでベストの成果を出すことを目指した結果、全体最適を損ねるような結果にも陥りかねません。(中略)その自分の担うべき役割や機能が、組織全体の中でどのような位置づけになっているのか、という複層的、相互的な理解まで落とし込まれることが重要です。

 

アリ―・デ・グースの分析では、中央集権的で効率を重視する組織は短命であることが示唆されています。

 

20世紀に特にアングロサクソン型の経営スタイルで支配的な、「企業は株主の利益を最大化するマシーンである」という機械論的な世界観を脱して、企業は、市場、社会、自然環境を包含する「生命システム」であるという世界観が広がりつつあるということです。

 

感想など

 ディスカッションの中心は、組織で働く人の「感情」の重視、「ビジョンの共有」あたりが多かったように思います。
 一昔前の「仕事だからやるのが当然」「目標達成のために頑張れ」だけでは、長期的な組織の成長はのぞめない、といった考え方自体はかなり広がっているのでは、という印象。本屋に行っても「モチベーションアップ」「やる気を引き出す」系のタイトルの本はたくさんあります。
 ただ、センゲのいう仕事への「コミットメント」はもっと深く激しいものです。例えば、「共有ビジョン」策定の説明では「車の行きかう道の真ん中に自分の子どもが立っていて、その子どもを助ける時の切迫した気持ち」ほどの強いものか、と問う場面があります。「今日の仕事を気分よく片付ける」といったライトなものではありません。  「共有ビジョン」をどう磨き上げて、組織の中の人が「コミットメント」に近づけるか。かなり難易度の高いテーマですが、本書にはいくつかのヒントもあります。

 一人ひとりにスポットを当てる「人材開発」から、組織全体の変革を目指す「学習する組織」へ。思い込みから全体理解へ。これからの組織の在り方への提言、折にふれて振り返りたいと感じました。