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【開催報告・栄】 『人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則』(エドガー・H・シャイン)

 

人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則

人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則

 

  今月の栄は、社会心理学、組織論の大家、エドガー・H・シャインによる『人を助けるとはどういうことか』が課題でした。

 日常的な家庭での会話から病院、コンサルタントなどの領域まで、広く、そして深く「助けること=Helping」について掘り下げたもの。誰にでも思い当たることのある例も豊富で、改めて「助ける」ことの難しさに気づき、より気持ちよく効果的な支援について学べます。他の人と「良い関係」を築くヒントをたくさん発見できます。

 

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管理人の読書メモ

P.69 そもそもどんな支援関係も対等な状態にはない。クライアントは一段低い位置(ワン・ダウン)にいるため、力が弱く、支援者は一段高い位置(ワン・アップ)にいるため、強力である。支援のプロセスで物事がうまくいかなくなる原因の大半は、当初から存在するこの不均衡を認めず、対処しないせいだ。

 

P.83 支援というものが、影響を与えることの一つの形だと考えるなら、自分が影響されてもかまわない場合しか他人に影響を与えられない、という原則はきわめて適切だ。

 

P.113 どんな支援の状況も、プロセス・コンサルタントの役割を果たす支援者によって始められ、以下のことが実行されねばならないのだ。

1 状況に内在する無知を取り除くこと
2 初期段階における立場上の格差を縮めること
3 認識された問題にとって、さらにどんな役割をとるのが最適かを見極めること

 

P.137 われわれは会話をしていて、何を言うべきか、どう言うべきか、あるいはいつ言うべきか、という点でつねに間違いを犯している。そうした過ちに失望するのではなく、そのおかげで学ぶ機会が得られたし、だから歓迎すべきなのだと認識しなければならない。

 

P.169 一段低い位置にクライアントが慢性的にいるなら、支援者はイニシアティブをとって支援を申し出るべきであり、絶えず頼みごとを必要とするせいで、クライアントがあまり自尊心を失うことがないようにしなければならない。

 

P.176 人から何を期待されているかを学ぶことは、他人が抱いている欲求や必要性を学ぶことよりもはるかに難しい。

 

P.180 メンバーが次の問題について安心感が得られるような状況を作り出すべきである。

1 私はどんな人間になればいいのか。このグループでの私の役割は何か。
2 このグループで、私はどれくらいのコントロール、あるいは影響を及ぼすことになるか。
3 このグループで、私は自分の目標、あるいは要求を果たすことができるか。
4 このグループで、人々はどれくらい親しくなるだろうか。

 

P.184 相互に受け入れるというプロセスには、相互に探り合う期間が必要なのである。

 

P.228 リーダーシップの重大な側面は、支援を受け入れる能力と、組織のほかの人間に支援を与える能力である。なぜなら、組織とはさまざまな文化の集まりであり、行動の変革がなされるべきグル―プの文化を理解するまで何一つ変わらないということを、つねにリーダーは受け入れなければならないからだ。

感想など

 タイトルでもある「Helping」とは、今日着ていく服についてのちょっとした助言や子どもに宿題を促すような場面のような、日常的で非公式な会話も含めた意味での「支援」のことで、いわゆる「手助け」や、店・病院、機関による専門的で公式な「支援」に限らない幅広い意味合いで語られています。

 今朝は参加者の皆さんからも、仕事で取り組んでいる支援の紹介や読書会のコミュニティ―での体験談など、身近なテーマとして話されました。

 本書にもあるように、誰かに服についてのアドバイスを求められたとき、本当に「選んで」欲しいのか、あるいは単に「似合っている」と言って欲しいのか、相手の真意をまず理解する必要があります。

 そうでないと、

P.230 われわれは支援者として、善意から出た支援が拒絶されたり、無視されたりしていると感じることがよくある。

 という結果になるかもしれません。日々の何気ない会話で、どこまでこれが意識できるのか、理解はできても実践は難しいのが実情ではないでしょうか。

 シャイン自身の失敗や、あるコンサルタントの不首尾に終わった例も紹介されるので、より理解が深まるし、最後の章で支援についての「7つの原則」がまとめられ、それぞれに「コツ」がいくつか添えられているので、ここだけでも読む価値があります。

 例えば、

原則1 与える側も受け入れる側も用意ができているとき、効果的な支援が生じる。

これに対して、

コツ① 支援を申し出たり、与えたり、受け入れたりする前に、自分の感情と意図をよく調べること。

あるいは

コツ③ 支援しようという努力が快く受け入れられなくても、腹を立てないこと。

 というように、すべての原則にコツや説明文が付いています。分かりやすい言葉で書かれた一般書とはいえ、「助ける」ということについて丁寧に網羅されていて、シャインの研究者としての「支援学」への思いが伝わってきます。良書です。

 

 来月の栄は話題の書『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』が課題です。この機会にぜひ読書会で語り合いましょう。

 

◆3月27日(月)【朝食読書会・栄】

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(リンダ グラットン、 アンドリュー スコット)

⇒ http://asakatsungo.hatenablog.com/entry/2017/02/22/190144 

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)