名古屋で朝活!! 朝活@NGO|朝食読書会・もくもく勉強の会

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【開催報告】朝食読書会『異邦人』 (アルベール・カミュ)|名古屋で朝活!!朝活@NGO

 

 

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

 

  今朝の朝食読書会は『異邦人』(A.カミュ)が課題でした。

 きょう、ママンが死んだ。もしかすると、昨日かもしれないが、私にはわからない。

という書き出しは有名過ぎですね。読み終わると、この『異邦人』(L'etranger)というタイトルも深みを増したように感じられる気がします。

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本の紹介(新潮文庫のカバーより)

母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。

感想など

 参加者の皆さんの感想は意外に主人公ムルソーや彼を愛し始めるマリイに共感できるという方が多く、その一方で分かりにくいパートもあって、短いながらも読み応えのある本でした。
 タイトルの「L'etranger」は、英訳では「The stranger」と「The outsider」の2種類が出版されているとのことでしたが、ニュアンス的には「アウトサイダー」の方が近いと感じました。その英語版にカミュが寄せた自序があり、解説に紹介されているのでそのまま転載します。

 「・・・母親の葬儀で涙を流さない人間は、すべてこの社会で死刑を宣告されるおそれがある、という意味は、お芝居をしないと、彼が暮らす社会では、異邦人とし扱われるよりほかはないということである。ムルソーはなぜ演技をしなかったか、それは彼が嘘をつくことを拒否したからだ。嘘をつくという意味は、無いことをいうだけではなく、あること以上のことをいったり、感じること以上のことをいったりすることだ。しかし生活を混乱させないために、われわれは毎日、嘘をつく。ムルソーは外面から見たところとちがって、生活を単純化させようとはしない。ムルソーは人間の屑ではない。彼は絶対と真理に対する情熱に燃え、影を残さぬ太陽を愛する人間である。彼が問題とする真理は、存在することと、感じることの真理である。それはまだ否定的ではあるが、これなくしては、自己も世界も、征服することはできないだろう・・・」(解説より)

 翻訳については好みが分かれるところかと思いますが、参加者の方でフランス語との対訳で読まれた方がいらっしゃいました。 日本語でこの切れ味の鋭い短文の積み重ねを読んでも刺激的ですが、さらにそれをフランス語で読めるなんて羨ましい。

対訳 フランス語で読もう「異邦人」

対訳 フランス語で読もう「異邦人」

 

  個人的な感想ですが、学生の頃に読んだ時には、あまり共感できる小説ではありませんでしたが、読み返してみるとこれほど力強くて心を動かされるものだったかと驚きました。『ペスト』も大好きな小説の一つなのですが、『異邦人』もまた何度も手に取りたくなるような名作ですね。夏のギラギラした日差しの中で読み返したい本です。