【開催報告】朝食読書会『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ)|名古屋で朝活!!朝活@NGO
今朝はTVドラマ化でも話題の『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ)が課題でした。
主人公の淡々としたモノローグでの回想が続くのですが、読み進めるにつれて明らかになる物語の背景に思わず引き込まれてしまいます。あまりに衝撃的な内容は、映画、舞台、そして今回はTVドラマとジャンルを超えて作品化されています。
感想など
純文学はあらすじが分かっていても楽しめるものだと思いますが、これに関してはSF小説でもありストーリーを知らない方が衝撃を味わえますし、言葉の端々に散りばめられている伏線が形になる驚きがあるので、読書メモは省略。
巻末に、翻訳家の柴田元幸(出版は土屋政雄訳)の解説があり、一文を引用します。
日本生まれのイギリス人作家カズオ・イシグロの第六長篇にあたる本書『わたしを離さないで』は、細部まで抑制が利いていて、入念に構成されていて、かつ我々を仰天させてくれる、きわめて稀有な小説である。
個人的には3度目の再読でしたが、「見たくないものからは目をそむけている社会」「変えられない運命の受容」「行動は自由意志の結果と思い込んでいることへの疑問」など、フィクションでありながら身の回りの現実に目を向けることのできる傑作だと思います。
何気なくおくっている日々の生活も、見えない誰かや何かの大きな犠牲のもとに成り立っていて、その自分自身も何かを毎日のように犠牲にして生きている。その当たり前であまり考えたくない現実を、改めて突き付けられる息苦しさがある作品です。
タイトルの『わたしを離さないで』は物語のカギになる曲の名前ですが、歌手のジュディ・ブリッジウォーターも含めて架空の曲です。映画化された際に、あたかも元々あった曲のようにアナログ感のある音質で作曲されています。
そしてこちらが映画。
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カズオ・イシグロでは『日の名残り』を代表作に挙げる人も多いのですが、「静かな回想」「運命の流れに翻弄される主人公」「それを自然に受け止める諦観の切なさ」など共通項はいくつもあります。 こちらもおすすめです。
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