読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

名古屋で朝活!! 朝活@NGO|朝食読書会・もくもく勉強の会

朝活@NGOのブログ。 名古屋駅(名駅)・伏見・栄・藤が丘のカフェで「朝食読書会」「もくもく勉強の会」を定期的に開催しています。 ビジネス書著者を招いてイベントも開催。 朝時間を活用して、素敵な1日に!

【開催報告】朝食読書会『ソクラテスの弁明』(プラトン)|名古屋で朝活!!朝活@NGO

ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫)

ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫)

 
ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)

ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)

 

  古典・ロングセラーから中心に選書している伏見の朝食読書会。今月は『ソクラテスの弁明』(プラトン)が課題でした。よく知られている「無知の知」については、本書でその背景が語られます。

 ソクラテスは、問答を通じて相手の間違いを明らかにし、真実に近づくという方法で思想を深め、弟子のプラトンが中心になって、その思想の軌跡を文字として遺しています。その一方で、他人を論破することから不評を買い、多くの敵を作ってしまった結果がこの裁判へと繋がってしまったことも、本書では明らかです。

f:id:asakatsungo:20160215194610j:plain

管理人の読書メモ

P.20 そしてこの告発者たちは、数も多いし、もう長い間告発しつづけているのです。(中略)しかし、なんといっても不条理なのは、私が彼らの名前も知らないし、言うことさえできないことです。(中略)また、私は誰一人この法廷に引っ張り出すこともできず、論駁することもできないので、いわば影と戦うように弁明し、誰も答えないまま論駁しなければならないからです。

P.31 そこで私は、その人が自分では知恵があると思っているが実際はそうでない、ということを当人に示そうと努めました。このことから、私はその人に憎まれ、また、そこに居合わせた多くの人たちにも憎まれたのです。

P.31 私はこの人間よりは知恵がある。それは、たぶん私たちのどちらも立派で善いことを何一つ知ってはいないのだが、この人は知らないのに知っていると思っているのに対して、私のほうは、知らないので、ちょうどそのとおり、知らないと思っているのだから。

P.35 つまり技(わざ)を見事になしとげるからといって、それぞれの職人は、他のもっとも大切なことについても、自分がもっとも知恵のある者だと自惚れてしまったのです。

P.58 もしだれかが最善だと考えて自分自身を配置するか、指揮官に配置されたのなら、思いますに、その持ち場に留まって、死でも他のどんなことにでも恥に優先して斟酌することなどせず、あえて危険を冒すべきなのです。

P.63 金銭から徳は生じないが、徳にもとづいて金銭や他のものはすべて、個人的にも公共的にも、人間にとって善きものとなるのだ。

P.101 もしそれがなにも感覚がないことで、眠っていてなにも夢を見ない時の睡眠のようだとすると、死とはびっくりするくらい得なものだということになるでしょう。

P.103 すなわち、この地の人々のようにかの地(死後の世界)の者たちを吟味し、彼らのうちで誰が実際に知者であり、誰が自分で知者であると思っているが実際はそうでないかを追究して、時を過ごすのです。

P.147 【解説】そこでソクラテスが提示する選択肢は「生か死か」ではなく、「哲学しつづける生か、哲学しつづけて迎える死か」である。

(引用はすべて光文社新訳文庫より)

 

感想など

 そもそもソクラテスは何の罪で裁判にかけられているのか。彼は、

ソクラテスは、ポリスの信ずる神々を信ぜず、別の新奇な神霊(ダイモーン)のようなものを導入することのゆえに、不正を犯している。また、若者を堕落させることのゆえに、不正を犯している」(訳者によるまえがきより)

という罪状で告発され、それに対する弁論が本書となります。本書の構成は、大きく3つのパートと断章に分かれ、さらにアルファベットでいくつかの段落にくぎれられています。

 光文社新訳文庫版では見出しがふってあり、構成把握の助けになります。

第一部 告発への弁明

前置き(1~2章)

古くからの告発への弁明(3~10章)

新しい告発への弁明(11~15章)

哲学者の生の弁明(16~22章)

弁明の締めくくり(第23~24章)

第二部 刑罰の提案(第25~28章)

第三部 判決後のコメント(第29~33章)

  ディスカッションでは、

・彼が生死をかけてまで守りたかったものは何か。

・論理的に死を恐れないソクラテスの態度について。

・読み継がれる古典としての価値はどのあたりか。

・これが書かれた背景のギリシャ社会とは。

・本書の現代性とは。

など。

 最後の一文が有名で、たびたび引用される名言です。

P.106 ですが、もう去る時です。私は死ぬべく、あなた方は生きるべく。私たちのどちらがより善き運命に赴くかは、だれにも明らかではありません。神は別にして。

  哲学の本質が答えのない問いに対する思考、真実への追究をし続けることであるなら、本書はその原点であり典型といえます。「正義と不正」「生の意義」「死の意味するもの」「恥」「真実」など、本書で問われるテーマは現代でもそのまま問われ続けている課題です。

 

 この裁判の後、ソクラテスは死刑までの間の一カ月間、牢獄で過ごすことになるのですが、その牢獄での様子は『クリトン』『パイドン』などで語られます。

ソクラテスの弁明・クリトン・パイドン (講談社文庫)
 

  哲学にご興味があれば、一度は手に取ってください。