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【開催報告・栄】『しんがり 山一證券最後の12人』 |名古屋で朝活!!朝活@NGO

 

  今朝は、経営破綻した山一證券の、真相究明と清算業務を社内で引き受けた「業務監査本部」を取材したノンフィクション『しんがり 山一證券 最後の12人』(清武 英利)が課題でした。
 筆者は、自らも読売巨人軍球団代表時代に、コーチの人事をめぐって会長だった渡邉恒雄コンプライアンス違反で告発し、球団を追われた清武英利によるノンフィクションです。

管理人の読書メモ

P.53 会社の評価など、人生のある時期に、ある組織の、ある人たちによって下されたものに過ぎない。

 

P.96 ここに来た社員に根っからの悪人は一人もいない。「会社のため」と自分に言い聞かせ、不正に手を染めたのだ。サラリーマンは正義感だけで生きているわけではない。会社のなかには法律だけでは割り切れない何かがある。

 

P.199 わしたちがやる清算業務も負け戦かもしれんな。しかし、会社がなくなって、社員やお客さんたちの怒りに収まりをつけるには、誰かがきちんとやるしかないんじゃ。

 

P.315 会社を怪物にしてしまうというのは、トップであると同時に、そのトップに抵抗しない役員たちなのである。

 

P.321 訴えられそうなその時に、一文の得にもならない事実解明と公表を土日返上、無制限残業で続けるなど、賢い人間から見れば、馬鹿の見本だろう。しかし、そうした馬鹿がいなければ、会社の最期は締まらないのだ。

 

P.351 〈今回の社内調査報告書が、従来、我が国で多く見られた結果の公表を伴わない調査、あるいは、自ら行った事実認定を示さずに単に抽象的な「反省」の言葉を並べただけの報告書であってはならないという決意の下で、目的を果たすべく調査してきた〉

 

P.376 人間はその場に合わせて咲く能力がある。突然の失職もたいしたことではなかった。人生は何とかなる。

 

P.402 最も大事なことは、顧客に対しても、上司に対しても、同僚に対しても、決して嘘をつかないということだ。情報を粉飾しないで誠心誠意、王道に徹した仕事をしてもらいたい。心の清涼感こそが力の源泉だと私は信じている。

 

P.414 この世は理不尽なことがたくさんあります。でも流されちゃいけない。言いたいことが言える人間じゃないとね。

 

感想など

山一証券の自主廃業をめぐるノンフィクション。あらすじについては、こちらのアマゾンの引用から。

「俺たちで決着をつけよう」会社の消滅時に、最後まで意地を貫いた社員の物語。16年前、四大証券の一角を占める大手、山一證券金融危機のさなかに破綻した。幹部たちまで我先にと沈没船から逃げ出すなか、最後まで会社に踏みとどまり、真相究明と顧客への清算業務を続けた社員たちがいた。彼らは社内から「場末」と呼ばれ、煙たがられた部署の連中だった―。

 

 山一證券の社内監査を行っていた「業務管理本部」を中心に、総会屋への利益供与、損失隠しのための「簿外債務」を明らかにしていくノンフィクション。自社の役員、管理職を中心にインタビューを続け、不正の証拠資料を集めていく一方で、世間からは山一社員として糾弾される立場でもあった彼らは、二重三重の苦しみを受けながらも最後まで誇りを持って職務を全うしようとした山一の良心ともいえる存在です。
 端々から伝わってくるのは、「無理なことを無理だと言えない風土」「問題を解決しないまま先送りしてしまう意思決定力の欠如」「上司に命じられれば不正と分かっていても従う弱さ」など、どこの組織にもあることに思えます。

 追求する側と追求される側、これは誰しもどちらの側にもなり得ると思います。もし自分だったらどう振る舞うのか。自分の生活や将来はひとまず置いて、最後まで誇りを持って報告書をまとめ、顧客対応を続けた業務管理本部チームの苦闘とともに、目先の利益、評価のために不正に手を染めた弱さの対比に、考えさせられるものがあります。
 もう少し視野を広げると、監督官庁の不正への対応も必ずしも徹底しておらず、「取り締まり」と「見逃し」の度合いはかなり恣意的なものと感じました。恐らく、他の証券会社でも行われていた不正行為。そういう意味では、「山一証券も被害者」という見方もできます。日常からは見えにくい、社会の深い闇を感じました。

 同じ筆者のノンフィクションは他にもあります。気になりますね。

 

 

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