【開催報告】朝食読書会『夜間飛行』(サン=テグジュペリ) |名古屋で朝活!!朝活@NGO
今朝の朝食読書会はサン=テグジュペリの『夜間飛行』が課題でした。彼の著作を課題にするのは『星の王子様』『人間の土地』に続いて3作目。夜の航路を飛ぶパイロットやそれを取り囲む大自然の描写、そして郵便事業を切り拓くリーダーの仕事観と葛藤が見事に伝わる名作小説です。
管理人の読書メモ
P.65 生はあまりにも矛盾に満ちている。およそ生きることに関するかぎり、なんとか折り合いをつけて努力していくことしかできないのだ…。命はそれでもつづいていく、それでも創られていく。滅びゆく体とひきかえに…
P.74 ひとに好かれたければ、ひとの気持ちに寄り添ってみせればいい。だがわたしはそんなことをまずしないし、心で同情していても顔には出さない。とはいえ友情や、人としての優しい感情に包まれたいと願わないわけではないのだ。医師であれば仕事を通じてそうした交流を得られるだろう。だがわたしの仕事は状況を制することにある。だから部下たちも鍛え上げて、状況を制する力をもたせてやらなければならない。
P.98 となりの橋まで迂回せずにすむのなら誰かの顔をおそろしいほど傷つけてもしかたがない、と思う農民は現地に一人もいないだろう。それにもかかわらずひとは橋を造るのである。
P.113 人生に解決策などない。前に進む力があるだけだ。つまりその力を創り出すしかない。そうすれば解決策はあとからついてくる
P.128 「毎晩、暴風雨になるわけではない」。そしてリヴィエールはこうも思った。「いったん航路をひらいた以上、あとはつづける以外にないのだ」
P.132 勝利。敗北。そうした言葉はおよそ意味をなさない。生きることはそうした観念の足元で、すでに新しい観念をかたちづくりつつある。勝ったためにかえって民の力が弱まることもあれば、負けたために民が目覚めることもある。
※ページは光文社古典新訳文庫による
感想など
自身がパイロットであったサン=テグジュペリの『夜間飛行』では、パイロットの視点よりもむしろ、飛行機による郵便事業を開拓していく社長、つまり登場するパイロットや整備工、事務員たちの社長であるリヴィエールの心の内が大きなウエイトを占めて描かれています。
このリヴィエールの孤独感や重圧、葛藤、そして何よりも「仕事の対する真摯さ」が、セリフや心情などからにじみ出るように感じられます。ドラッカーが著作で繰り返し力説する「真摯さ」を体現するようなリーダー像に思えました。
新潮文庫の詩的な名訳(堀口大學)も印象的ですが、光文社古典新訳文庫の二木麻里訳も読みやすいし翻訳者による解説もいいので、比較して読むのも面白いかと思います。
来月の伏見は4月10日(月)、朝活500回目の課題は『論語』です。
【募集開始・伏見】4月10日(月)『論語』(角川ソフィア文庫) |名古屋で朝活!!朝活@NGO - 名古屋で朝活!! 朝活@NGO|朝食読書会・もくもく勉強の会