名古屋で朝活!! 朝活@NGO|朝食読書会・もくもく勉強の会

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【開催報告】朝食読書会『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(上・下)ユヴァル・ノア・ハラリ (著)

 

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 
サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

 

  朝活@NGOも、この4月で7周年を迎える予定で、読書会や勉強会も500回目が近づいてきました。今朝の朝食読書会は、NHK「クローズアップ現代」でも特集された話題の書、『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』が課題でした。

 ホモ・サピエンスが、まだサバンナに棲む数多い生物の1種でしかなかった頃から、他の人類種や多くの大型動物を滅ぼしながら繁栄し、遺伝子組み換え人工知能に挑むまでになった壮大な生物史・歴史そして近未来までを見渡す壮大な一冊。神話や宗教、農業・牧畜、貨幣と経済、科学革命、交易と帝国主義国民主義、資本主義などのイデオロギー、幸福、そして遺伝子工学やAI、ロボットまで幅広く、それが絡み合う面白さ。

 ボリュームこそありますが、読んでて全く飽きないし、著者の知性とユーモア、翻訳の読みやすさもあって、世界中で話題なのもよく分かる本でした。特に、これまでの常識、思い込みをひっくり返されるような視点がいくつもあって、文系理系ともに楽しめます。

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管理人の読書メモ

【上巻】
P.20 10万年前の地球には、少なくとも六つの異なるヒトの種が暮らしていた。複数の種が存在した過去ではなく、私たちしかいない現在が特異なのであり、ことによると、私たちが犯した罪の証(あかし)かもしれない。

 

P.40 虚構のおかげで、私たちはたんに物事を想像するだけではなく、集団でそうできるようになった。聖書の天地創造の物語や、オーストラリア先住民の「夢の時代(天地創造の時代)」の神話、近代国家の国民主義の神話のような、共通の神話を私たちは紡ぎ出すことができる。

 

P.107 人類は農業革命によって、手に入る食糧の総量をたしかに増やすことはできたが、食料の増加は、より良い食生活や、より長い余暇には結びつかなかった。むしろ、人口爆発と飽食のエリート層の誕生につながった。平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた。農業革命は、史上最大の詐欺だったのだ。


P.132 近代後期まで、人類の九割以上は農耕民で、毎朝起きると額に汗して畑を耕していた。彼らの生み出した余剰分を、王や政府の役人、兵士、聖職者、芸術家、思索家といった少数のエリート層が食べて生きており、歴史書を埋めるのは彼らだった。歴史とは、ごくわずかの人の営みであり、残りの人々はすべて、畑を耕し、水桶を運んでいた。

 

P.142 私たちが特定の秩序を信じるのは、それが客観的に正しいからではなく、それを信じれば効果的に協力して、より良い社会を造りだけるからだ。

 

P.230 貨幣は人間が生み出した信頼制度のうち、ほぼどんな文化の間の溝をも埋め、宗教や性別、人種、年齢、性的指向に基づいて差別することのない唯一のものだ。貨幣のおかげで、見ず知らずで信頼し合っていない人どうしでも、効果的に協力できる。

【下巻】
P.11 普遍的で、宣教を行う宗教が現れ始めたのは、紀元前1000年紀だ。そのような宗教の出現は、歴史上屈指の重要な革命であり、普遍的な帝国や普遍的な貨幣の出現とちょうど同じように、人類の統一に不可欠の貢献をした。

 

P.32 近代には、自由主義共産主義、資本主義、国民主義、ナチズムといった、自然法則の新宗教が多数台頭してきた。これらの主義は宗教と呼ばれることを好まず、自らをイデオロギーと称する。

 

P.59 科学革命はこれまで、知識の革命ではなかった。何よりも、無知の革命だった。科学革命の発端は、人類は自らにとって最も重要な疑問の数々の答えを知らないという、重大な発見だった。

 

P.136 新しい資本主義の信条における第一にして最も神聖な掟は、「生産利益は生産増加のために再投資されなくてはならない」だ。(中略)資本主義は「資本」をたんなる「富」と区別する。資本を構成するのは、生産に投資されるお金や財や資源だ。一方、富は地中に埋まっているか、非生産的な活動に浪費される。

 

P.182 (人間)全員を巨大な秤に載せたとしたら、その総重量はおよそ三億トンにもなる。もし乳牛やブタ、ヒツジ、ニワトリなど、人類が農場で飼育している家畜を、さらに巨大な秤にすべて載せたとしたら、その重量は約七億トンになるだろう。対照的に、ヤマアラシやペンギンからゾウやクジラまで、残存する大型の野生動物の総重量は、一億トンにも満たない。

 

P.222 幸福は客観的な条件、すなわち富や健康、さらにはコミュニティにさえも、それほど左右されないということだ。幸福はむしろ、客観的条件と主観的な期待との相関関係によって決まる。

 

感想など

 部分的に面白かったのは上記のメモあたり。全体的な感想としては、

・「ホモ・サピエンス」としては繁栄を極めているが、個人としての幸福度は狩猟民族の時から変わっていないし、むしろ農業革命以来、人口が増えるにしたがって不幸な個人が増えたのかもしれない。

・自分が常識だと思っていることは、この時代、国ならでは固定観念に満ちた独特なもの、一時的な約束事、虚構に過ぎないものに思えた。

・実は生物種としてはほとんど進化してこなかった人類が、ここにきて遺伝子組み換えやロボット工学の発達で、一気に「超人」へ変わる分岐点にいるという恐ろしさを改めて実感。

 本書では、歴史だけでなく近未来まで語っていて、

あまりにもホモ・サピエンスに手を加え過ぎて、私たちがもはやホモ・サピエンスではなくなる可能性はある。

という一文も決してオーバーではないものだと納得。ディスカッションでも、これまでの医療や身につける道具とは違った、遺伝子組み換えやロボット工学による「超人類」が現われるのは、そう遠いことではないのでは、という意見もあり。本書を読み終えると、「長生きしたい」「健康でありたい」という強烈な願いに、倫理的な壁は簡単に崩れ、生命の操作か、知能を含めたロボット化に飛躍的に進みそうに思えます。

 歴史の数少ない鉄則の一つに、贅沢品は必需品となり、新たな義務を生じさせる、というものがある。人々は、ある贅沢品にいったん慣れてしまうと、それを当たり前と思うようになる。そのうち、それに頼り始める。そしてついには、それなしでは生きられなくなる。

有機的な変化か、無機的な変化か、近い将来、人類は違った姿になっていそうです。

歴史を研究するのは、未来を知るためではなく、視野を拡げ、現在の私たちの状況は自然なものでも必然的なものでもなく、したがって私たちの前には、想像してよりもずっと多くの可能性があることを理解するためなのだ。

翻訳も読みやすいので、 ご興味があれば、ぜひご一読を。

 

◆来月の名駅は3月13日(月)ドラッカーの名著です。

ドラッカー名著集1 経営者の条件

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