【開催報告】朝食読書会 『野蛮な読書』(平松洋子)|名古屋で朝活!!朝活@NGO
今月の藤が丘、朝食読書会は平松洋子の読書エッセイ集『野蛮な読書』が課題でした。食についての著作で知られる筆者が、日常、旅、映画、そしてもちろん食についての文章に中に、103冊の本を織り込んだエッセイ集です。
管理人の読書メモ
P.48 値段を見ないで本を買う。しかも、いっぺんに何冊も。これだって、かんがえてみればこどものころは夢のまた夢だった。だから、わたしにとっての書店はおとな買いの快感に身を浸すことのできる。
P.121 料理がすき。それがふだんの宇能鴻一郎の顔だと知ったとき、意外なような、いや当然のような、じつに複雑な感情をおぼえたものである。食べて味わうこと、料理することは、五官をつかって官能を湧きたたせる悦楽でもあるから。
P.200 本は本を連れてくる。なぜこの本がつぎのこの本に繋がるのかと驚くのだが、奇妙な手引きもまた読書の贈りものなのだ。
P.213 夏は、時間が過去に向かって開く。べつに帰りたいわけではないのに、こどもの時分がひょっこり顔をのぞかせる。
P.244 優れた写真集はひとを黙りこませる。言葉を失うというより、視覚に捉えたものに対して距離の取りかたを定めるためには、まずは沈黙するほか道がないのである。それが、写真のちからだ。
P.277 生きるということは、いつも宙ぶらりんなのだ。いつだって宙ぶらりんの状態だから、なにごとか勃発すればあたふたおたおた、そこをなけなしの経験やら知恵やら動員してどうにか波間を渡ってゆくのが人生というものだろう。あわてず騒がずスイスイ泳いでゆく人生の達人などというものはどこにもいないのだ。いなくて、いい。
感想など
太宰治、泉鏡花、あるいはメルヴィルのような文豪からS.ミルハウザー、川上未映子、吉田篤弘など2000年代の作品まで、とにかく幅広い選書。知識をひけらかすわけでもなく、ただただ本や読書への愛情が伝わってきます。それもただ紹介するというものではなく、エッセイの中に本の一節が自然に差し込まれ、語られるスタイルです。
旅は情景が広がり、食事は味や食感、においまで想像してしまう文章。マイナーな作品も多く紹介されるので、これまで知らなかったけど読んでみたくなる一冊にきっと出会えます。
まさに「本は本を連れてくる」、読書好き、特に小説好きの方にはおすすめです。
皆さんのおすすめ
底抜け合衆国―アメリカが最もバカだった4年間 (ちくま文庫)
- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/03
- メディア: 文庫
- 購入: 63人 クリック: 1,356回
- この商品を含むブログ (17件) を見る