名古屋で朝活!! 朝活@NGO|朝食読書会・もくもく勉強の会

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【開催報告】朝食読書会 『ヘッセの読書術』(ヘルマン ヘッセ )|名古屋で朝活!!朝活@NGO

 

文庫 ヘッセの読書術 (草思社文庫)

文庫 ヘッセの読書術 (草思社文庫)

 

  今朝は文豪ヘッセによる読書エッセイを集めた一冊『ヘッセの読書術』が課題でした。「読書術」というよりヘッセの「読書愛」溢れるエッセイをまとめたものです。

 

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管理人の読書メモ

P.15 自分がどんな人間とつきあうかということに無関心でない人、自分の身近に自分が親近感をもてる人びとを選んでとくに大切にする人、さらに、自分の生き方、住まい、自分の着る衣服の種類と着方や自分のとくに重要な生活習慣の特色と様式を尊重する人は、書物の世界に対しても、自主的で友情のこもった親しい関係をもつこと、そして自分の読むものを自主的で個人的な趣味と欲求に従って選ぶことがぜひ必要である。

P.25 せかせかと休みなく読み、いたるところでつまみ食いをし、いつもただ最も刺激的なものと、精選されたものだけを得たいと望む人は、まもなく表現の様式と美しさを理解する感覚をだめにしてしまうであろう。

P.50 千冊の、あるいは百冊の《最良の書》などというものは存在しない。各個人にとって、自分の性格に合って、理解でき、自分にとって価値のある愛読書の独自の選集があるだけである。

P.55 そもそもよい本とよい趣味の敵は、本を軽蔑する人や字の読めない人ではなくて、乱読者だからである。

P.81 本当の教養は、何らかの目的のためにあるのではなく、完全なものを目指すすべての努力と同様に、それ自体価値のあるものなのである。

P.131 傑作は流行の読み物ほど甘い味も刺激的な味もしないことが多い。傑作は真剣に取り組んでもらうことを要求し、読者の所有物となることを望んでいる。

P.184 言葉がなければ、文字と書物がなければ、どんな歴史も存在しないし、人類の概念も存在しない。

P.226 すなわちたまたま感銘を受けた書物と作家を無批判に崇拝したり、いわんや自分の模範になどしてはなりません。

 感想など

 今朝はもともと申し込みが4名だったのですが、キャンセルや当日の欠席があって結局参加者1名。以前にヘッセの「シッダールタ」を課題にしたことがありますが、特にヘッセの東洋思想や仏教への理解が良く分かる文学リストや日本人への手紙があって、この時代、禅などの思想のヨーロッパへの広がりが垣間見えたのが収穫だったとのこと。

 もう一つは、長く読まれるものとそうでないもの。ベストセラーを読むのも楽しいのですが、流行るものや分かりやすいものはたいてい飽きられるというのは、確かにその通りかもしれません。逆に、ちょっと分かりにくい程度のものが、かえって長く楽しめるのかも。村上春樹の『海辺のカフカ』に印象的な一節があって、ヘッセの文学論にも通じるものを感じます。

シューベルトは訓練によって理解できる音楽なんだ。僕だって最初に聴いたときは退屈だった。君の歳ならそれは当然のことだ。でも今にきっとわかるようになる。この世界において、退屈でないものには人はすぐに飽きるし、飽きないものはだいたいにおいて退屈なものだ。そういうものなんだ。僕の人生には退屈する余裕はあっても、飽きているような余裕はない。たいていの人はそのふたつを区別することはできない。」

 読書の秋に、読書や本、言葉そのものについて考えるのもよいですね。