【開催報告】朝食読書会『奇想の系譜』(辻 惟雄)|名古屋で朝活!!朝活@NGO
日曜に開催している藤が丘の朝食読書会、7月は『奇想の系譜』(辻惟雄)が課題でした。
今でこそメジャーな伊藤若冲、歌川国芳などは、1970年出版の本書の影響が大。日本画の知られざる魅力を一般に広めたという意味で、大きな功績のある本です。
アマゾンより
意表を突く構図、強烈な色、グロテスクなフォルム―近世絵画史において長く傍系とされてきた岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳ら表現主義的傾向の画家たち。本書は、奇矯(エキセントリック)で幻想的(ファンタスティック)なイメージの表出を特徴とする彼らを「奇想」という言葉 で定義して、“異端”ではなく“主流”の中での前衛と再評価する。刊行時、絵画史を書き換える画期的著作としてセンセーションを巻き起こし、若冲らの大規 模な再評価の火付け役ともなった名著、待望の文庫化。大胆で斬新、度肝を抜かれる奇想画家の世界へようこそ!図版多数。
感想など
岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳の6人の画家について、生い立ちや画風、主要な作品についての紹介ですが、辻氏の選ぶ言葉についての感想も多かった印象。例えば、岩佐又兵衛の『山中常盤』に関して、『そうなると、この矯激な、血なまぐさい嗜虐趣味に満ちた作品』(P.61)など、文学作品でもあまり見ないような表現が並びますが、この作品の激しさ、生々しさが伝わってきます。かなり過激な描写ですので、画像は貼りませんが、気になる方は「山中常盤物語絵巻」で画像検索してください。
文庫本にも図版は掲載されていますが、本物を見ることのできる場所を調べた方もいらっしゃいました。せっかくですので、いくつか紹介します。
【岩佐又兵衛】
『福井移住400年記念 岩佐又兵衛展』
福井県立美術館
2016年7月22日(金)-8月28日(日)
⇒ 福井県立美術館 Fukui Fine Arts Museum
【伊藤若冲】
『生誕300年記念 伊藤若冲 ─京に生きた画家─』
(開催中~9月4日(日))
細見美術館・京都
⇒ http://www.emuseum.or.jp/exhibition/ex048/index.html
『生誕300年記念 伊藤若冲展』
(開催中~12月4日(日))
承天閣美術館・京都
⇒ http://www.shokoku-ji.jp/j_now.html
(2016年10月4日(火)~12月4日(日))
京都市美術館・京都
⇒ https://www2.city.kyoto.lg.jp/…/…/2016_7_fiscal_Jakuchu.html
【曽我蕭白】
三重県立美術館に18点所蔵あり。展示作品は要確認。
【長沢芦雪】
※2017年に愛知県立美術館で企画展予定
【歌川国芳】
『俺たちの国芳 わたしの国貞』
(2016年9月10日(土)~12月11日(日))
名古屋ボストン美術館・愛知
⇒ http://www.nagoya-boston.or.jp/exhibition/list/
名古屋で国芳、蘆雪を見る機会がありますね。楽しみです。狩野山雪については、2013年に京都で大規模な企画展がありました。京都で活躍した若冲、今年は生誕300年ということもあって企画展も多いですね。
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