【開催報告】『サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』(チャディー・メン・タン)
サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法
- 作者: チャディー・メン・タン,ダニエル・ゴールマン(序文),一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート,柴田裕之
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2016/05/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「マインドフルネス」「瞑想」関連の書籍は、ここ数年で多く出版されるようになりました。今朝の課題本は、グーグル社の元エンジニアであり、同社に「マインドフルネス」を普及した当時の担当者チャディー・メン・タン氏による解説書。専門家による著作ではないので、一般の方、特に働いている企業人が読んでも大変分かりやすく、格好の導入書となっています。
管理人の読書メモ
P.102 友人や家族があなたに話しているときに、自分の注意をそっくり向け、相手に話す時間をたっぷり与えるという、気前良い態度をとります。そして、自分に言い聞かせましょう。相手は私にとってとても大切な人で、私の注意を一身に集め、言いたいことを言うのに必要な時間をとる権利があるのだ、と。
P.117 執着を捨てるのがうまい人ほど、瞑想も眠りに落ちるのもうまい。
P.138 人と接しているときにはたいていの場面で、自分のエゴを謙虚でほとんど物の数に入らないところまで縮ませ、誰であれ接している相手に優しさと利益をもたらすことに集中する。同時に、自分のエゴを十分な大きさにまでふくらませ、ビル・クリントン元大統領だろうと、女優のナタリー・ポートマンだろうと、交通巡査だろうと、ユーチューブで私を見ている膨大な視聴者だろうと、誰と接していても気後れしないようにする。
P.153 このエクササイズ(ジャーナリング)自体はとても単純だ。たとえば三分というふうに制限時間を自分に課し、きっかけとなる話題を与えてもらう(あるいは、自分で自分に与える)。私たちの場合は、「今、私が感じているのは……」といった、自由回答式の文章だ。その制限時間内に、頭に浮かんだことを何でもいいから書く。(中略)何を書こうかなどと考えようとしないで、ただ書くことだ。
P.166 私たちは、忌まわしい思考や情動が湧き起こるのは防げないものの、それを手放す力はもっているし、鍛錬を積んだ心ならば、そうした思考や情動は、湧き起こるそばから手放せるというのだ。
P.170 何であれ外界のものに苦しめられているなら、その痛みは、、もの自体のせいではなく、それに対する自分の評価のせいだ。そして、その評価なら、いつでも取り消す力を私たちはもっている。
P.232 ポジティブ心理学の著名な先駆者、バーバラ・フレドリックソンは、ひとつのネガティブな経験を乗り越えるにはポジティブな経験が三つ必要であることを発見した。
P.242 共感とは、心理学的に分析することでも同意することでもない
P.248 (他人と)類似点を見いだして優しさを差し延べるためには、ふたつの別個の練習がある。ひとつ目は「私とまったく同じ」の練習で、ほかの人々がどれほど自分に似ているかを思い起こして、それによって平等という心の習慣を生み出す。ふたつ目は「愛情に満ちた優しさの瞑想」で、他人の幸せを願い、それによって優しさという心の習慣を生み出す。
P.252 一日一回、親切な行為をし、それを10日続けるだけで、本人の幸せがはっきり増すことを示す研究さえあるほどだ。
P.271 一部の生徒は頭の良さをほめ(「個人賞賛」――「こういう問題を解くのが得意だね」)、一部の児童は取り組みぶりをほめ(「プロセス賞賛」――「いっしょうけんめいやったんだね」)、残りは対照群として、高い点を取ったとだけ告げた。そのあと、もっと難しい問題をやらせると、頭の良さをほめられた児童は、ほかの児童よりもずっと成績が悪く、取り組みぶりをほめられた児童は、ずっと成績がよかった。
P.288 思いやりとは不愉快な心の状態だと考えている人が多いからだが、ここにその正反対の結果を示す科学的データが存在している――思いやりは極端に幸せな状態であるというデータが。
感想など
前半ではEQなど過去の心理学の成果を結びつけて解説し、簡単にできる瞑想から自己統制まで。後半では、自分と周りの人間関係を豊かにし、リーダーシップを発揮するに至るまで。最後には世界平和も語られます。
それぞれの段階でエクササイズが紹介されるのですが、自然に深まりと広がりが体験できる流れになっています。本を読みながら、ちょっとエクササイズを試すことはできますが、本来はもっと長期間じっくりと進めるものです。
ディスカッションで紹介された2種類の瞑想方法が印象的でした。少し調べてみましたが、
・サマタ瞑想(止行)・・・ろうそくの炎、呼吸など、意識を何かに集中させることで、心の動きを止める瞑想。
・ヴィパッサナー瞑想(観行)・・・心を無にして、ありのままに受け入れる瞑想。
本書では、まず呼吸に意識を向けることから始めています。すぐには効果は分かりませんが、一読した後ではそのエクササイズが「人間関係の改善」「リーダーシップの発揮」などにどう結びついていくのかが、ごく自然に理解できます。継続しようと思えば、確かにヨガ教室やセミナーなど、瞑想をリードしてくれる場が有効かもしれません。アプリなどもありますね。
まずは呼吸に集中、続けてみたいと思います。