【開催報告】『脳には妙なクセがある』(池谷裕二)|名古屋で朝活!!朝活@NGO
藤が丘の朝食読書会は日曜8:30から。今月は東京大学大学院薬学系研究科教授の池谷裕二先生『脳には妙なクセがある』が課題でした。以前に糸井重里氏との対談本『海馬 脳は疲れない』を課題にしたことがありますが、それに続いて2冊目ということになります。
管理人の読書メモ
P.34 どんなに表面をつくろって同情する素振りを見せたところで、他人の不幸を気持ちよく感じてしまう本心は、根元的な感情として脳に備わっているわけです。
P.35 ちなみに「他人とうまくやっていく能力」については、「自分は上位25%以内」と答える生徒が60%以上もいるから面白いところです。
P.85 団体に入会するために「儀礼」を受けるという実験です。厳しい儀礼と、それほど厳しくはない儀礼のどちらかを受けて入会してもらいます。入団後に、その団体が好きかどうかを聞くと、厳しい儀礼を受けた人のほうが団体に対する高感度が高いというデータが出ます。
P.138 ちなみに、対談中に相手がコーヒーを飲んだらこちらもカップに手を伸ばしたり、相手が頬づえをついたらこちらも頬づえをついたりなど、さりげなく相手の行動を真似すると、相手からの好感度が増すことが知られています。
P.161 コーヒー豆の香りを嗅ぐと、なんと、他人に対して親切になるのです。
P.166 より専門的に説明すれば「入力を繰り返すよりも、出力を繰り返すほうが、脳回路への定着がよい」ということになります。
P.208 この実験から、栄養サプリメントを飲むと、プラセボに比べて、暴力行動が約35%も減ることがわかりました。
P.271 だから私は、「よく生きる」ことは「よい経験をする」ことだと考えています。すると「よい癖」がでます。
P.314 右側の頭頂葉の「角回」と呼ばれる部位を刺激すると、被験者の意識は2メートルほど舞い上がり、天井付近から「ベッドに寝ている自分」が部分的に見えるというのです。
P.340 精神と身体は切り離して考えることはできません。心は脳にあるのではありません。心は身体や環境に散在するのです。
感想など
巻末に膨大な参考文献が掲載されているのも関わらず著者は「本書に書いていることはエンターテイメントとして読んでほしい」と繰り返し言っています。26のテーマに沿って、それぞれの章にいくつかの面白い実験結果、エピソードが盛り込まれているので、パラパラとめくった章だけを読んでも引き込まれてしまいます。
すべてを取り入れることは無理にしても、印象に残ったことのいくつかは仕事や生活に生かせそうです。人に説明をするのでも、図の使い方や話し方、しぐさなどにちょっとした工夫をするだけでも、説得力が増したり、印象に残りやすかったり、少しでも改善するヒントがあるのでは。左視野の重要性、笑顔の効用、アウトプットを繰り返す学習法など、自分でも取り入れてみたいと思いました。
自分自身が日常の生活の中で感じていること、思っていること、行動していることは、自由意志などではなく、脳の反応に過ぎないかもしれません。そうした脳の「クセ」を知るのに最適な一冊です。未読の方はぜひ。
参加者のおすすめ
藤が丘の朝食読書会では、参加者の皆さんのおすすめを紹介してもらっています。今朝の本も、いつか課題にしたい本をはじめ、読みたい本、手元に置いておきたい本がたくさんありました。