【開催報告】『自分の小さな「箱」から脱出する方法』 (アービンジャー・インスティテュート)|名古屋で朝活!!朝活@NGO
- 作者: アービンジャーインスティチュート,金森重樹,冨永星
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2006/10/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今朝の朝食読書会は『自分の小さな「箱」から脱出する方法』が課題でした。朝活@NGOとしては3度目の課題となります。
最近ではラグビーの五郎丸選手が朝日新聞のインタビューに答えて、本書を紹介した記事が話題でした。
⇒ 五郎丸歩さん「自分の『最悪』なんか、大したことない」:朝日新聞デジタル
人間関係に焦点を当て、自分の在り方を「箱に入る」「箱から出る」というシンプルな喩えで説明した一冊。転職先の上司に「箱」のセミナーを受ける、というストーリー形式の読みやすい文章ですが、内容は目からウロコの読書体験かもしれません。
管理人の読書メモ
P.18 君は周りの人のことを、『我慢』しなくてはならない存在だと思っていないだろうか。
P.50 自分が相手から、なんとかしなくてはならない問題とみなされているのか、操られているのか、策略を巡らされているいるのかが、わずかな時間でわかってしまう。偽善だってかぎつけられる。見せかけの親切の下に隠れている非難を、感じ取ることもできる。
P.72 少なくともわたしの場合、相手の名前に関心がないということは、一人の人間として相手に関心がないということだ。
P.145 自分の感情に背いていると、自分を正当化するような見方で自分自身を見るようになる。そしてそのイメージを、状況が変わっても持ち続ける。
P.162 息子さんを責めている自分を正当化するには、相手が責めるに足る人間でなくてはなりません。
P.173 そういう人たちは、他人の成果を自分の成果に比べて軽く扱う。たいがいの人は、会社の誰かが成功しても、自分自身が成功したときのようには喜ばない。それどころか、他の人を踏みにじってでも、成果をあげようとする。
P.182 自分の感情に背くこと、それこそが自己欺瞞という病を引き起こす細菌なんだ。
P.205 相手のために何かをしたいと思うことが、すなわち箱の外に出ることでもあるんだ。
P.247 いったん箱に入ってしまうと、相手をひどい奴だと責めている自分を正当化するためにも、実際に相手がひどい奴であってくれなくては困ることになる。
感想など
「上司、同僚、部下といい関係が築けてない」「家族、恋人と上手くいってない」など、日常生活の中で人間関係に悩むことは誰しもあること。仕事上で注意する、される中で、素直に納得できる場合と、かえって反発してしまう場合と、何が違うのか。
本書では「あなたが箱の中に入ってしまった時には、相手にいくら良い言葉をかけても、いいことをしてあげようとしても、アドバイスしようとしても、上手くいかない」とし、逆に「箱の外にいる時には、かなりきついアドバイスもきちんと相手に響くし、むしろあなたとの信頼関係が増す」とされています。「Aさんの言うことは素直に聞けるけど、同じことをBさんに言われても腹が立つだけ」といった経験は誰にでもあり、このストーリーの中で鮮やかに説明されています。
この本の最大の特徴は、「こうしたら上手くいく」という美しい言葉やエピソード、成功事例が並んでいるのではなく、ほとんどの事例が「失敗例」だということです。セミナーの講師役が紹介するエピソードも講師自身の失敗の体験談であるし、主人公が回想するエピソードも、部下や妻、子どもとのいらいらした過去や腹を立てた思い出ばかり。そこに、読者の悩みが共有できたり、ヒントをもらえたりする要素がたくさんあるように思います。
なぜ身近な人とのささいな会話、態度にイライラしてしまうのか。なぜ周りの人が「問題を抱えた」人ばかりに思えるのか。なぜ自分がこんなにしてあげているのに、相手に伝わらないのか。こうしたことの原因が「自己欺瞞」から始まって、自分自身が「箱」に入ってしまうまでの心理の動きが、図も使ってすっきりと説明されます。
また、終りがけにでてくる次の部分も、ここで得た理解を行動に一歩進める上でとても重要。
P.264 これを知ったからといって、箱の外に出られるわけじゃない。知るだけでなく、それに即して生きなくてはならない。今まで学んだことを他の人に当てはめて、他人を評価しているあいだは、学んだことに即して生きているとはいえない。むしろ、この知識を生かして、チャック・スターリ(問題のある上司)みたいな人物をも含めた周囲の人々に、さらに力を貸すにはどうすればいいか学んではじめて、それに即して生きていることになる。
人間関係に悩んだら、一読する価値ありです。未読の方はぜひどうぞ。