【開催報告】朝食読書会『モモ』(ミヒャエル・エンデ)|名古屋で朝活!!朝活@NGO
- 作者: ミヒャエル・エンデ,大島かおり
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/06/16
- メディア: 新書
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今月の藤が丘、朝食読書会はドイツ児童文学の名作『モモ』(ミヒャエル・エンデ)が課題でした。児童書とはいいながら、大人にこそ読んでほしい本です。
現代社会における「時間」が大きなテーマ。子どもにとっては「時間」を奪い返す冒険譚ですが、大人の読者には「生き方そのもの」を問いかけるような深い内容です。
管理人の読書メモ
P.23 ほんとうに聞くことのできる人は、めったにいないものです。
P.53(道路掃除では)いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん。わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。
P.92 「われわれの生きている現代社会では、」外交員XYQ/384/b氏はあいてをさえぎって言いました。「もう秘密なんてものはありえない。・・・」
P.106 けれど時間とは、生きるということ、そのものなのです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていくのです。
P.236 人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんできめなくてはならないからだよ。
P.237 もし人間が死とはなにかを知ったら、こわいとは思わなくなるだろうにね。そして死をおそれないようになれば、生きる時間を人間からぬすむようなことは、だれにもできなくなるはずだ。
P.398 「わたしはいまの話を、」とそのひとは言いました。「過去に起こったことのように話しましたね。でもそれを将来おこることとしてお話してもよかったんですよ。わたしにとっては、どちらでもそう大きなちがいはありません。」
感想など
参加者6名でしたが、捉え方はそれぞれ。こういう正解のない本こそ長く読まれるのではないでしょうか。ディスカッションでは、
・時間を「お金」に読み替えると資本主義の見直しのように読める。
・貴重な時間をより大切に使いたくなった。
・主要な登場人物を「博愛」「自由」「平等」に置き換えて読める。
・エンデの名言が散りばめられていて、読み応えがある。
・読む時期によっても印象が変わりそう。
・仕事や生活の効率化が必ずしも幸せに結びつくわけではないことがよく分かる。
・現代社会への予言、警告のような本。
など。話しの中で「金融経済」「効率化の弊害」「仕事観」「豊かな人生とは」「人との付き合い方」など、現代人の生き方の根幹に関わるような様々なテーマが浮かび上がりました。それらのどこに注目するのかは、読者の人生のステージによって違ってくるのでは。
現代社会、特に先進国の中でもドイツ、日本が得意な「効率化」への鋭い批判とも読めて、改めて生活を見直すきっかけになる名作だと思います。大人にこそ手に取って欲しい一冊です。
参加者のオススメ
藤が丘の朝食読書会では、毎回参加者の皆さんからオススメの本を紹介してもらっています。今朝のオススメ本はこちらです。
日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)
- 作者: 森下典子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/10/28
- メディア: 文庫
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- 作者: ジョン・P・コッター,ホルガー・ラスゲバー,野村辰寿,藤原和博
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2007/10/27
- メディア: 単行本
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