名古屋で朝活!! 朝活@NGO|朝食読書会・もくもく勉強の会

朝活@NGOのブログ。 名古屋駅(名駅)・伏見・栄・藤が丘のカフェで「朝食読書会」「もくもく勉強の会」を定期的に開催しています。 ビジネス書著者を招いてイベントも開催。 朝時間を活用して、素敵な1日に!

【開催報告・藤が丘】『ヴェネツィアの宿』(須賀敦子)|名古屋で朝活!!朝活@NGO

 

ヴェネツィアの宿 (文春文庫)

ヴェネツィアの宿 (文春文庫)

 

 

 今月の藤が丘は『ヴェネツィアの宿』(須賀敦子)が課題でした。

 

 イタリアでの生活を綴ったエッセイが多い中で、これは日本での家族・親族の思い出や寄宿学校でのこと、特に父母への複雑な思いなどが軸になっていて、留学時代やイタリアでの生活は他のエッセイ集より少な目です。

 

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 情景が目に浮かぶような名文で語られる思い出の数々から、彼女の人生哲学を形作った人や言葉への敬意を感じられます。彼女自身が発した言葉よりも、彼女にかけられた言葉の方が印象深いかも。

 

「古典をお読みなさい。ホーマーとか、ダンテとか、シェクスピアとか。『風と共に去りぬ』はそれからでじゅうぶん」

 

「ヨーロッパにいることで、きっとあなたのなかの日本は育ちつづけると思う。あなたが自分のカードをごまかしさえしなければ」

 

「自分がカテドラル(大聖堂)を建てる人間にならなければ、意味がない。できあがったカテドラルのなかに、ぬくぬくと自分の席を得ようとする人間になってはだめだ」

 

「このところ、自分の生き方をさぼっているみたいなおまえを見ていると、わたしはなさけなくなるわ」

  

 彼女の中に残る言葉は厳しいものも多いのですが、きっとこうした言葉が彼女を磨き、翻訳や創作に向かわせたのでしょう。

 

 さまざまな感情が錯綜する父母との関係と、「自分というものを、周囲にむかってはっきりと定義し、それを表現しつづけなければならない」ヨーロッパでの生活。須賀敦子の美文とともに、彼女の人生そのものが深く味わえる一冊だと思います。

 

 

【みなさんのおすすめ】

 課題本からの連想で持ち寄られた本がほとんど。でも、一冊の本から十人十色のインスピレーションが生まれるんですね。 

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