【開催報告・名駅】朝食読書会『アルケミスト』(パウロ・コエーリョ)|名古屋で朝活!!朝活@NGO
アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
- 作者: パウロコエーリョ,Paulo Coelho,山川紘矢,山川亜希子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1997/02/01
- メディア: ペーパーバック
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今朝は『アルケミスト』(パウロ・コエーリョ)が課題でした。ざっくり言えば宝を目指す冒険ファンタジーではありますが、示唆的な言葉や逸話が多くて、大人が立ち止まって考えるような本かと。
管理人の読書メモ
もし僕が、今日、すごく残忍な男になって、一頭ずつ殺すことにしたとしても、ほとんどの仲間が殺されてしまってから、彼ら(飼っている羊たち)はやっと気がつくだろう、と少年は思った。彼らは僕を信頼していて、もう自分たちの本能に従うことを忘れている。
誰もみな、他人がどのような人生を送るべきか、明確な考えを持っているのに、自分の人生については、何も考えを持っていないようだった。
いつも『はい』と『いいえ』で答えられる質問をするようにしなさい。しかし、できれば自分で決めるように努力しなさい。(中略)はっきりした質問をしなければならない。そのためには自分が何を欲しているかを知らねばならない。
どうやって未来を推測するのかだって?それは現在現れている前兆をもとに見るのだ。秘密は現在に、ここにある。もしおまえが、現在によく注意していれば、おまえは現在をもっとよくすることができる。おまえが現在を良くしさえすれば、将来起こってくることも良くなるのだ。
おまえは自分の心から、決して逃げることはできない。だから心が言わねばならないことを聞いた方がいい。
傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだと、おまえの心に言ってやるがよい。
感想など
ファンタジーやスピリチュアル系の要素もあるので、好みの分かれる本だと思いますが、何かしら気づきの得られる一冊では。本書から伝わってくるメッセージはいくつもあって、読書会でも感想は様々。何度も繰り返されるのは「夢を追うこと」や「前兆をよく見ること」「今をしっかり生きること」、このあたりは主要なテーマでは。
含蓄のある言葉、エピソードが散りばめられていて、なかでもスプーンのエピソードが個人的には印象的。簡単にまとめると
立派な宮殿に招かれた少年に、賢者は「スプーンの油をこぼさないように手に持って、宮殿を2時間あちこち見て回りなさい」と言いつけます。そうして2時間歩いた少年に「庭園や壁の絵、美しい図書館の本に気づいたかね?」と尋ねると、少年はスプーンの油に気を取られ「何も見ませんでした」と。
もう一度、今度はスプーンを気にしないで見て回ると、壁や天井の芸術品、庭園の花々などの美しさを十分に楽しめました。でも、スプーンの油はこぼれてしまっていました。
賢者が言うには「幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油を忘れないことだよ」と。
矛盾することを受け入れるというのは、幸せに生きる上で大切な要素だと思うので、好きなエピソードです。この辺りに「大人向け」を感じます。ストーリーとしても、最後の数ページが膝を打つような伏線の回収のしかたで、読後感がとてもよいです。
こうした本は、読み方も感じ方も色々。「夢」や「前兆」を改めて考える機会になるかもしれないし、「運命」や「今」のことを思うかも。読んだ人それぞれの課題が見える本かもしれませんね。