【開催報告】朝食読書会 『バッタを倒しにアフリカへ』 (前野ウルド浩太郎) |名古屋で朝活!!朝活@NGO
書店で平積みにされた新書の中でも、ひときわ目を引くのが、大きな網を持ってこちらを睨むバッタコスチュームの男。今朝の課題は『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎)が課題でした。
本書は、人類を救うため、そして、自身の夢を叶えるために、若い博士が単身サハラ砂漠に乗り込み、バッタと大人の事情を相手に繰り広げた死闘の日々を綴った一冊である。
毎日のようにバッタを触りまくる生活を送っていたところ、バッタアレルギーになってしまった。バッタが腕を歩くと、その足跡通りにじんましんが出る特異体質になっていた。
表紙の写真も写真なら、帯には「バッタ被害を食い止めるため、バッタ博士は単身、モーリタニアへと旅だった。それが、修羅への道とも知らずに・・・。」って、手に取らずにはいられないコピーが。
管理人の読書メモ
私はバッタアレルギーのため、バッタに触られるとじんましんが出てひどい痒みに襲われる。そんなの普段の生活には支障はなさそうだが、あろうことかバッタを研究しているため、死活問題となっている。こんな奇病を患ったのも、14年間にわたりひたすらバッタを触り続けたのが原因だろう。
地球上の陸地面積の20%がこのバッタ被害に遭い、年間の被害総額は西アフリカだけで400億円以上にも及び、アフリカの貧困に拍車をかける一因となっている。
「問題!電線に小鳥が5羽とまっています。銃には弾が3発。さぁ、何羽仕留められますか?」
「もちろん3羽!」
「ノン!正解は1羽です。他の鳥は一発目の銃声を聞いたら逃げるだろ?いいかコータロー、覚えておけ、これが自然だ。・・・」
つらいときこそ自分よりも恵まれていない人を見て、自分がいかに恵まれているかに感謝するんだ。嫉妬は人を狂わす。お前は無収入になっても何も心配するな。研究所は引き続きサポートをするし、私は必ずお前が成功すると確信している。
上を向けば涙はこばれないかもしれない。しかし、上を向くその目には、自分よりも恵まれている人たちや幸せそうな人たちが映る。(中略)これからつらいときは、涙がこぼれてもいいから、下を向き自分の幸せを噛みしめることにしよう。
このときを待っていた。群れの暴走を食い止めるため、今こそ秘密兵器を繰り出すときだ。さっそうと作業着を脱ぎ捨て、緑色の全身タイツに着替え、大群の前に踊り出る。
「さぁ、むさぼり喰うがよい」
夢を語るのは恥ずかしいけど、夢を周りに打ち明けると、思わぬ形で助けてもらえたりして流れがいい方向に向かっていく気がする。夢を叶える最大の秘訣は、夢を語ることだったのかなと、今気づく。
ラマダンとは、物や人に頼らずとも幸せを感じるために編み出された、知恵の結晶なのではなかろうか。
感想など
バッタ研究の話ではありながら、幅広く働き方や生き方についてのヒントが詰まった良書でした。現地で使われるフランス語も分からないまま、次から次へと襲われるトラブルの数々を、どこか楽しんでさえいるような軽妙な語り口。とにかく面白いです。
まず感じたのは、トラブルの受け止め方がおおらかでポジティブだということ。バッタ研究にモーリタニアまで行ったのに、大干ばつのためにバッタが発生しなかったり、やっと見つけたと思ったら地雷地帯で動けなかったり。そんな中でも、他の虫に切り替えたり、現地の子どもを使ってバッタを集めてみたり。ブログを書いていらっしゃるせいか、トラブルを「ネタ」として楽しんでいる余裕みたいなものを感じます。これが「協力者」「運」を引き付ける前野氏の魅力、成功への秘訣なのでは。
もうひとつ感じたのが、価値観の共有。ブログがあまりに面白く、連載の話がいくつもある中で、「プレジデント」担当編集者の石井氏だけを前野氏が選んだくだりが紹介されています。
初めてのバッタ研究者との仕事ということで、彼のデスク周りには昆虫やアフリカの分厚い辞典が増えていった。ご自身で細部まできちんと調べ、ウラをとり、読者のことを常に想定し、文章を磨きに磨く。仕事をすることの責任感とはなんたるものかを見せつけられた。
石井氏のことを絶賛していますが、前野氏のバッタへのこだわりぶりに通じるものがあるからこそ、 連載を引き受けたのでは。効率とか思い入れだけではない仕事への姿勢がよく分かる部分でした。
バッタの研究というよりも、仕事の面白さを思い出させるような本、オススメです。
今朝のおすすめ本
藤が丘では、課題とは別に参加者の方におすすめ本を紹介してもらっています。
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