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【開催報告・名駅】朝食読書会『坊っちゃん』(夏目漱石)|名古屋で朝活!!朝活@NGO

 

坊っちゃん (新潮文庫)

坊っちゃん (新潮文庫)

 

  今朝は夏目漱石の名作『坊っちゃん』が課題でした。学生時代に読んだことのある方も多いのではないでしょうか。

 大人になって読み返すと、また違った魅力にも気付けそうです。

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感想など

 一週間くらいで一気に書き上げたと言われる本作は、地の文も含めて主人公の心の内そのままのいわゆる江戸っ子言葉で、独特のスピード感と歯切れの良さが味わえます。落語調の語りで聞いてみたいという感想もあり、漱石の中でも独特ではないでしょうか。

 曲がったところの大嫌いな「坊っちゃん」の言動・行動は、時にすっきり、時に滑稽です。登場人物も赤シャツや狸、山嵐など、坊っちゃん流にあだ名で語られ、それが実に上手くキャラクターを捉えています。

 ひとつにはいわゆる権威への「疑いや反発」、そして弱いものへの「愛情」、もう一つは「義理」を大切にする心。当時の市井の人の持つ感情を上手く捉えた小説だと思います。

 新潮文庫の解説にもあるように、それはどっと押し寄せてきた西洋・近代思想への日本的な抵抗かも。

 また、柴田勝二の解説本(『村上春樹夏目漱石』)にもあるように、列強国VS日本といった国際情勢を透かして読む見方もあるのかもしれません。つまり赤シャツに代表される「権威もありずる賢い列強の国々」と急速に西洋に追いつこうとするしながら、条約面などではいつも弱腰に思える日本。ここではそんな日本の両面性を「坊っちゃん」と「うらなり氏」で表現しようとしたのかもしれません。マドンナは、奪われる運命の遼東半島とか。

 清(きよ)についても、丸谷才一によれば、坊っちゃんの実母なのではないかと。

 単純明快なストーリーなのですが、案外深読みができるのも、長く読まれる理由でしょうね。夏に読むにはオススメの一冊です。再読の方もぜひ。