【開催報告・伏見】朝食読書会『こころ』(夏目漱石) |名古屋で朝活!!朝活@NGO
今月9日が夏目漱石生誕150周年ということで、今朝の課題は代表作『こころ』。
Wikiによると「売上総数は2014年の時点で705万500部。これは日本の文学誌では1位の売上である。」とのことです。今朝は味わい深い漱石デザインの復刻版も。
管理人の読書メモ
ひとのなつかしみに応じない先生は、ひとを軽蔑するまえに、まず自分を軽蔑していたものとみえる。
しかし悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているんですか。そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にあるはずがありませんよ。平生はみんな善人です。少なくともみんなふつうの人間なんです。それが、いざというまぎわに、急に悪人になるんだから恐ろしいのです。だから油断ができないのです。
暗いものをじっとみつめて、そのなかからあなたに参考になるようなものをおつかみなさい。
『おれは策略で勝っても、人間としては負けたのだ』という感じが私の胸に渦巻いて起こりました。
感想など
先生の奥さん目線の感想など女性ならではの視点や、果たして先生は奥さんを愛していたのか、気になるオープンエンドの続きを考える問いなど、読書会ならではの問いかけや発見がたくさん。
異様に長すぎる「遺書」については、「先生」の他人への気持ちの欠如や自己弁護という意見では一致するものの、皆さん程度の違いはあれ、こういう自己正当化にはどこか自分にも思い当たるところがあって、他人事として片づけられないのも本書の魅力だと思います。
ひとの「こころ」は、なにかの拍子にすぐに変わってしまうもの。
「そらみたまえ」
「何をですか」
「君の気分だって、私の返事一つですぐに変わるじゃないか」
「K」が死んだのは、果たして恋がかなわなかったことへの絶望か、はたまた求道者として恋に目覚めてしまったことへの許せなさからか。「先生」が死んだのは、嫉妬から「K」を死なせた罪の意識からか、誰にも心を許せなくなった人生への諦めからか、満たされない自分への淋しさからなのか。疑問はたくさん湧いてきますが、解釈は人それぞれ。
何度目かの再読でしたが、今回が一番身に沁みたような気がします。学生の時以来という方もいらっしゃると思いますが、ぜひもう一度。
◆来月の伏見は、3月21日(火)。課題はサン=テグジュペリの名作。
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