【開催報告】 『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』 (角川文庫・森岡 毅) |名古屋で朝活!!朝活@NGO
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫)
- 作者: 森岡毅
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2016/04/23
- メディア: 文庫
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今朝は低迷していたUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をV字回復させた森岡毅氏の『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』が課題でした。
「金がない、人も足らない、時間もない、でも当て続けなければならない!」
ヘアケア業界という異業種からヘッドハンティングされUSJに移った森岡氏。当時、低迷していたUSJをいかにV字回復させたかのストーリーを中心に、マーケティング、組織変革についてまとめたビジネス書です。
管理人の読書メモ
P.35 そんな空気の中で、私は社内にはびこる最大の敵「間違ったこだわり」に、まず宣戦布告することにしたのです。それは、ハリウッド映画のテーマパークとして始まったユニバーサル・スタジオ・ジャパンのブランドを、長期的に生存可能なように再定義すること。つまり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンというブランドを、「映画の専門店」という妄想から、「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」へと脱皮させることでした。
P.44 アイデアや指示は全て上から降ってくるものだと思い込み、それに慣れきっている、そんな企業風土に私には見えました。私はグレンが最初の面接で私に言った「自分がリスクを取って変えようとしない日本人」の意味をそこで実感したのでした。
P.78 私は信じているのですが、マーケティングをやる人間は、何でも自分自身でやってみることを習慣にすべきです。
P.109 私は、目的が正しいのかについては十分に時間を使って慎重に考えることにしていますが、それが正しいと判断したのならば、できない理由をあれこれ考えて目的自体を「無理だ」と嘆くことに時間を使わないようにしています。
P.120 世の中からアイデアを探して盗んでくることを真っ先にやることは、マーケティングをやる人間には絶対に必要だと思っています。自分たちでゼロからアイデアを捻り出すのは、本来は探してどうしても見つからないときの最後の手段であるべきだと私は考えています。
P.148 戦略を早く決めることも、早く決めないことも、それぞれ拙速か巧遅のどちらかのリスクを抱えることになります。大事なのはどちらのリスクもわかった上で、「今決める」か「まだ決めないか」を選ぶことです。
P.160 多くの人は会社で長く働きすぎです。さっさと早く仕事を切り上げて、自分へのインプットを増やす機会をどれだけ作れるかが、実は重要なキャリアの差を生むことを自覚した方がいいです。
P.216 結局のところ、中小企業や業界で2位以下のような会社は、生き残るためには攻め続けるしかないということです。
P.219 外部条件が大きく変わらないときに「良い結果(=違う結果)」を出すには、この2つしか方法がありません。「違うことをやる」か「同じことを違うようにやる」か。
P.220 何かを変えるためには、より大事な何かのためにかなり大事な別の何かを捨てる痛みを飲み込めないといけない。
コンサルタントという外部の専門家という立場ではなく、ヘッドハンティングによって転職してきたマーケティング担当という立ち位置で、USJのコアとも言える「映画へのこだわり」を捨て、事業の再定義から始めた変革を、ここまでやり切るのは大変な道のりだったと思われます。ご自身に対する社内外からの反発のことも書かれていますが、実際の現場の空気を想像すると、誰もができるものではないのでは。
予算、人、準備期間という制約の中で、次々にヒット企画を生み出し続けたその軌跡を振り返る形でまとめ、またアイデアを出し実現まで持っていくための思考法、フレームワークなどが紹介されています。
マーケティング、アイデア出しから実現まで、そして「企業風土改革」など、ご興味のある方はぜひ。