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【開催報告】『世界史で学べ! 地政学』(茂木 誠)|名古屋で朝活!!朝活@NGO

世界史で学べ! 地政学

世界史で学べ! 地政学

 
世界史で学べ!地政学

世界史で学べ!地政学

 

 

 栄の朝食読書会はビジネス・経済系から中心に選書しています。今朝の課題本は『世界史で学べ!地政学』でした。

 グローバル化が進んだ今、報道で取り上げられる国際情勢は、日本から遠く離れた場所の地域紛争であっても、何らかの形で日本経済や国民生活に影響があります。現在の問題は、過去に遡って考えると理解が進むものが多くあります。

 日本と中国・韓国の問題、中東問題、ギリシア経済、アフリカの紛争など、歴史を知ればその根本原因が見えてきます。

 

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管理人の読書メモ

P.36 「アメリカはもはや世界の警察官ではない」と言い切ったオバマ政権の8年間は、世界に混沌をもたらしました。「余計なトラブルに巻き込まれたくない」という及び腰が、各地の反米勢力を勢いづかせたのです。

P.86 伊藤博文を暗殺した安重根でさえ、日露戦争での日本の勝利を絶賛しています。(中略)この帰結が日本の韓国併合(1910)であり、日本に強要された、などという単純な話ではありません。韓国の歴史教科書は、この点をごまかしています。

P.94 さらに中韓両国は、「日本帝国主義の被害者」として歴史問題でも共闘するようになったのです。

P127 東南アジアイスラム教はもともと穏やかで、現地の習慣とも溶け込んでいるのですが、出稼ぎ労働者として中東地域で生活した若者たちが、「真のイスラム」に目覚めて過激化し、テロ集団に勧誘されるというパターンが多いようです。これもまた、貧困が根本原因なのです。

P.146 ソ連を「悪の帝国」と呼んだアメリカのレーガン政権は、パキスタン経由でアフガニスタンゲリラに対する軍事援助を実施します。ビン・ラディンたちは、アメリカ製の武器でソ連軍と戦ったのです。

P.154 日本を敗戦国のまま封じ込めておこうとするアメリカや中国とは全く異なる歴史観を持つのがインドです。

P.189 19世紀以降、イギリスが関わった戦争の多くは「ロシア封じ込め」を目的としたものです。

P.191 隣国と国境を接するヨーロッパ諸国が常に大軍を常備しなければならなかったのに対して、イギリスは最少限度の軍備で本土防衛ができました。だから余った兵力を植民地拡大に転用できたのです。

P.216 EU指導部(独・仏)の本音はこうでしょう。
「ギリシアはうちが面倒みるが、ウクライナはロシアが面倒みてくれ」
「欧州とロシアは敵対しない。米・英はロシア挑発をやめてくれ」

P.219 つまり、中東の不安定は古来のイスラム教に起因するのではなく、オスマン帝国の解体に伴って生じた問題なのです。

P.244 ISは占領地における略奪行為、ナイフで首を切断するという残虐な処刑、異教徒やシーア派に対する容赦ない弾圧、歴史的建造物の破壊など、現代文明では理解不能な行動を繰り返していますが、いずれもムハンマドの時代に定められたイスラム法にのっとって行動しているつもりなのです。彼らの最終目的は、イラクとシリアのみならず、モロッコからインドに至るかつてのイスラム帝国の復活です。

P.300 以上、直接日本と関わりがある地域としてソマリアスーダンマグリブ諸国を取り上げましたが、他のアフリカ諸国が抱える問題も根本的にはみな同じです。
帝国主義の時代に、民族・言語分布を無視した国境線が引かれ、そのまま独立してしまった結果、ほとんどすべての国が民族紛争を抱えていること。
②豊富な地下資源と武器市場を狙って、大国が介入を続けてきたこと。ソ連崩壊でロシアが引いたあとは、中国のアフリカ進出が加速している。

感想など

まずは筆者による「地政学」の定義から。

 P.6 世界史を正義の実現と見る「理想主義」とは真逆の立場を、「現実主義(リアリズム)」といいます。「歴史には正義も悪もない。各国はただ生存競争を続けているだけだ」という見方です。(中略)地政学(ジオポリティクス)は、リアリズムの一つです。

 国と国とは「生存競争」を繰り返し、利害関係のバランスの中で常に駆け引きをしているもの。中でも地図上に見られる「地形」「隣国」「友好国と敵対国」などに注目しつつ読み解いた世界史です。

P.304 各国は相変わらず生存競争を続けており、世界政府みたいなものは成立しない。 

 読み進めると、思った以上にどの国も「地形」から影響を受けることが多いことに気付かされます。特に軍事上、大陸か島か、山脈や大河の位置、海に面しているか大地に囲まれているか、などによって大きく戦略が変わり、軍事費と他の経済活動とのバランスも地勢によって変わってきます。物資の輸送を考えても、利便性の高い場所に港を持てるかどうかも重要で、ロシアなどは「不凍港」を求めて隙あらば南下政策を押し進めた歴史があります。

 もうひとつは、そもそもの「国」という単位について。中国やインドなどの大国も、実情は多様な民族の集まりであったり、中東やアフリカについては、帝国主義時代に端を発する民族や宗教、言語の違いを無視した国境問題から未だに脱していないことがよく分かります。

 報道される国際問題も、非常に恣意的で偏った見方によることが分かるし、ギリシア問題やテロの問題、日韓関係も、歴史を知れば受け止め方も変わると思います。あまりにも世界情勢は入り組んでいて、簡単な解決が見出せないことが分かるだけもよいのでは。

 現在の国際情勢をもう一歩踏み込んで理解したい方や、もう一度世界史を概観したい方、自分なりに世界の捉えるための視点を増やしたい方にお薦めです。

 

世界史で学べ! 地政学

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